妊娠中絶とは、読んで字のごとく妊娠が途中で継続しなくなるということです。医学的には妊娠中絶というのは、胎児が死亡してしまった全ての状態のことを言います。お腹の中の胎児が死亡した状態のことを指すので、一般的に人工中絶・流産や死産全てを含みます。
死産は、妊娠22週以降で胎児が死亡した状態のことを言います。流産は、妊娠22週未満で胎児が死亡したことを言います。死産や流産には、人工的に死亡したものと自然に胎児が死亡したものがあります。しかし、高校生や中学生の間で言われている「妊娠中絶」は、人工的に妊娠中絶手術を受けることで、死産・流産のことではありません。
自然に死産してしまったものは、胎児や母体による妊娠中の何らかのトラブルが原因とされています。また、自然に流産してしまったものは、妊娠したときに胎児側の原因で先天性代謝異常であったケースが多いです。お腹の中で胎児が死亡していなくても、死亡する可能性がある状態を切迫早産または切迫流産と呼びます。これには痛みや出血などを伴うこともありますが、早期治療や早期発見によって胎児の命を助けることができます。従って、この時点では妊娠中絶の定義には当てはまりません。
切迫早産であろうと切迫流産であろうと、人工的に手術を受けて胎児が死亡した場合は、妊娠中絶ということになります。妊娠中絶という言葉だけが独り歩きをして悪いイメージが先行していますが、必ずしも中絶したからといって人工中絶の手術を受けたというわけではありません。